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「せかいとつながる仕事」No.4〜ダブルダッチアーティストNOBUさん後編〜

こんにちは!せかい部事務局インターンのあみです!

皆さん、お待たせしました!
「せかいとつながる仕事」シリーズ第4弾👏

今回は現役シルク・ドゥ・ソレイユアーティストであり、プロのダブルダッチアーティストでもあるNOBUさんへのインタビュー後編です❣️

まだ前編を読まれていない方は、こちらのリンクから

それではお楽しみください✨

ーシルク・ドゥ・ソレイユのアーティストとして海外を拠点にしようと思ったきっかけは何でしたか?

NOBUさん(以下、N):
簡単に言うと、日本ではご飯を食べていくことができませんでした。ダブルダッチにはプロライセンスがないので、自分がプロと名乗ればプロなんです。区役所などで職業欄を記入する時、昔からプロダブルダッチプレイヤーと書き続けていて、よく突っ込まれたりしていました。自分が名乗った時から職業になるので、自分に恥じないようにと思っていましたね。
10年くらい、実家にもお世話になりながらバイトをして、プロとして活動していましたが、葛藤もありました。同年代の子達が、スーツを着て、朝に出勤している中、自分達は彼らが退勤した後の駅構内のスペースを使って練習させてもらったりしていた。これでいいのかな...と。
日本では、どうしてもエンタメの職業の位がすごく低いところにあると思います。海外ではパフォーマーが公務員として扱われていたりする国もあるんです。
色々考えていく中で、ちゃんと生活ができるようになるには、シルク・ドゥ・ソレイユの舞台が一番だなと思ったことがきっかけです。

日本でのShow

日本国内でのパフォーマンスの様子

あみ(以下、あ):
アルバイトをしながら国内で活動していく中で、大変だったことも沢山あったことと思います。

ー大変な中で、夢を叶えることができるまでご自身を支えてくれたものは何でしたか?

N:
僕は今までどんなに苦しくても、大変でも、一度もダブルダッチを辞めようと思ったことは無いです。それは、周りにいてくれた方々の存在が大きいです。特に、CAPLIORE(カプリオール)のメンバーがいてくれたからです。思い返してみると、誰一人、辞めると言った人はいませんでしたね。シルク・ドゥ・ソレイユに入ったり、海外に行くようになってからは、それぞれの生活もあるので、メンバーの入れ替えはありましたが、大変な時期でも誰も辞めようと言いませんでした。どんなに苦しくても、仲間がいて、夢があったから突っ走って来れたし、この先も突っ走ることができるのかなと思います。

あ:
私自身、芸術の世界で夢を追う人を沢山知っていますが、日本では特に目の前に壁が立ちはだかる瞬間が多く、夢を諦めざるを得ない人も多いと感じます。そんな中で、突っ走っていくことができるNOBUさんは、本当にすごいですね。

N:
最近、Clubhouseで様々な業界の生の声を聴くことができるようになりました。様々なジャンルで皆さん突破口を見つけようとしているものの、特にこのコロナ禍で突破口を見つけ切れていないというエンタメ業界の現実を目の当たりにしました。
今、実際にシルク・ドゥ・ソレイユのステージに立たせてもらっている僕ら、現役でステージに立つ日本人5人のうちの一人が僕なので、エンタメ業界でまだ生きているよ!着火剤を用意しているよ!と伝えていきたいです。

ー海外で活動する中で思い出に残っているエピソードはありますか?

N:
エピソードって、悪いエピソードほど覚えているんですよね(笑)
その中でも、イギリスのリヴァプールから日本に帰国する際の手荷物検査ですかね。
ダブルダッチパフォーマーにとってロープは命の次に大切な物で、一緒に旅をしてきた仲間のような存在なのですが、そのロープを手荷物検査で、機内に持ち込むことができないと言われてしまって。当時、英語がほとんど理解できない中、イギリス訛りで「モネー」という単語が繰り返され、何のことを言っているか分かりませんでした。税関と15分ほど格闘したところ、最終的に絵を描いてもらってようやく「money」のことだったと理解ができましたが、「持ち込みたいなら$200を払って下さい」と言われてしまったんです。実際、ロープは4000円程度で買うことができるし...と考えた末、勇気ある決断としてロープを置いてきました。これはずっと今でも心残りです(汗)
今思い返すと、おそらく、ロープが凶器になり得ると思われたんだと思います。当時の僕らにはわかりませんでしたね。

あ:
置いてきてしまったんですね!?まさか、ロープが持ち込めないとは思わないですよね。

ー今まで行った国で一番好きな国はどこですか?

N:
今まで、ダブルダッチパフォーマーとして約18か国行かせていただきましたが、やっぱり今一番好きだと感じるのは、現在住んでいるメキシコのカンクンですね。日本を抜きとして、最高の場所です。
なぜなら、僕は寒いのが苦手で、暖かい場所が好きなんです。それに、すぐ隣に海があり、自然に囲まれていて、お酒も美味しいです。生活する中で、不便な部分もありますが、パワーが漲っている場所だと思います。僕が住んでいるカンクンは、ユカタン半島に位置しているのですが、ここは、古代のマヤ文明が栄えていた場所で、1年が365日であることや、時間が発見された場所と言われています。ここにいると、「導かれた」というか、パワーをもらっているなと感じますね。

メキシコを除くと、イタリアのミラノに住んでいたことがあって、その時は定住を考えました。もちろん、スリなどは気をつけないといけませんが、ご飯も美味しくて、スーパーなどで買い物もしやすく、本当に良い場所でしたね。
でもやっぱり、それを超えるのがメキシコで、本当に素敵な場所です。今は凄く楽しくて、幸せに感じていて、コロナが終息したら、ぜひ来て欲しいですね。

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メキシコにて

ーメキシコではスペイン語を話していますか?現地で勉強しましたか?

N:
はい、試行錯誤しながら勉強しています。スペイン語はまだまだですが、『スパングリッシュ』という英語とスペイン語を混ぜながら話したりしていますね。「何て言うんだっけ」と言ったりしながら、今ではある程度話せるようになりました。

ー実際に住むとなると、契約周りとか大変そうですが、どうでしたか?

N:
実は僕は一言で言うと、ホテルに住んでいるんです。大きなホテル会社が、僕が出演させていただいているショーの『JOYÁ』を買い取っています。イメージとしては、代々木公園のような場所の中にホテルやプール、ゴルフ場などがあって、その中にシアター(劇場)がある形です。アーティスト専用のレストランなどもあって、凄く良い環境です。他の人に怒られるくらい良い環境かもしれませんね。「苦労してないじゃん」と言われてしまうかも(笑)

あ:
素晴らしい環境ですね!

ー今現在は、普段通りショーを行えていますか?

N:
正直、普段通りではないです。現在は、実際にショーを行っているのは、週に3日だけになっています。メキシコのアラートが4段階中の下から2番目になってしまい、エンタメは最大30%の収容率で、公演数を減らすよう、政府に要求されています。ですが、最近は状況が落ち着き、収容率が60%になりました。今後も、政府からのアラートが良い方に変われば、週5回ショーができるようになるのではないかと期待しています。(取材当時)

ーパフォーマーとして活動する中でのモットーは何ですか?

N:
感謝です。
僕は自分で『感謝オタク』と名乗っていますが、本当に全てのことに感謝しかありません。「ありがとうで始まってありがとうで終わる」
いつもステージの前に一礼して「ありがとう」と伝え、来て下さるお客様や刺させて下さる方々、スタッフの皆さん、メンバー、家族、日本で応援して下さる方々の顔を思い浮かべます。ステージが終わったらまた一礼、自分自身にも「頑張ってくれてありがとう」と思ってからステージを降りています。
本当は1日に100回「ありがとう」を伝えたいですね。難しいですが、そこに近づけるように感謝を伝えていきたいです。

あ:
素敵ですね。私も改めて感謝を伝えていこうと思います。

ー「感謝」を大切にするようになったきっかけは何ですか?

N:
きっかけは、東日本大震災でした。それまでは当たり前のシーンを当たり前としか思っていませんでしたが、震災の影響でエンタメ業界はガタンと崩れ、仕事がゼロになったり。震災後の4月9日から岩手県の大船渡に行き、ダブルダッチで何かできないかと考えました。それまでベクトルが「自分自身」だったのが「give」の方に向き、ボランティア活動に行くようになり、様々な被災地を回る中で「当たり前」ってありがたいことなんだなと気付きましたね。着る服があること、家があること、仲間がいること、ご飯が食べられること、それらは全てありがたいことであると気づくようになり、「ありがとう」を大切にするようになりました。

被災地活動

ボランティア活動中の写真

ー海外に行ったことで、その考えが深まったことはありますか?

一番分かりやすいのは食生活ですかね。あとは病気になった時の病院のシステムや保険は、日本は優れているなと感じました。困ったことに直面した際にありがたいなと思いますが、プライベートに関することが一番多いと思います。日本って本当に素晴らしい国だと思いました。
また、Clubhouseを始めたことで様々な方々と話す機会が増えましたが、今まで出会えなかった人と出会える場所だなと感じています。有名な作家さん、映画監督、書道家、スポーツ選手などと話している中で、皆さん口を揃えて言うのが感謝でした。「Give」をすることが大切であり、応援される自分であることが夢を叶える近道だと皆さん共通して仰っていました。そこで、僕の道は間違っていなかったと再確認できましたね。
本当に、人間は大切なことをすぐ忘れてしまうので、忘れてしまったタイミングで気づかせてくれる何かが自分の所に来てくれているのだと思います。

ー留学を考える高校生へメッセージをお願いします。

N:
これから留学する人、迷ってる人は、「迷ったらやりなさい。」やった方が100%良いです。
僕は、得はあっても損はないと思います。得は何かというと、経験や、日本の良さに気づくことです。まずは一歩踏み出す勇気と、行動力が大切で、万が一ホームシックになったり嫌なことがあったら、日本に帰っちゃっても僕はいいと思いますね。実際に海外に行ってみて、やっぱりこの国は違った、違う国行ってみよう、となっても良いと思います。悩んでいるのなら、まずは挑戦してみて、良いかどうかを判断するのが大切で、僕はそれを一番感じています。野球に例えるなら、見送り三振じゃなくて空振り三振の方が次につながるということです。「この国は僕に合わなかった」とわかることもあると思います。合えば万歳ですし、合わなくても、自分を責めるんじゃなく、認めて「一歩踏み出したよね」って自己肯定して良いと考えています。死ぬことがなければ、まずはチャレンジしてみることが大切です。

ー今後の目標や展望を教えてください。

2月で40歳になったのですが、あと10年間は現役を続けていきたいと思います。僕はイチロー選手を尊敬していて、彼は45歳で引退されているので、とりあえずイチローは超えないといけないなと思っています。
50歳まで行ったら一度考えて、まだいけるようだったらキングカズを超えたいというのが今の目標ですね。
あとは、ダブルダッチをオリンピックの正式種目にしたいというのもありますし、今年中に実際に手に取ることができる本の形で書籍を出したいです。本が擦り切れるまで読んで頂けたら、最高に嬉しいです。世の中に何か「give」できるような本を出したいです。
他には、健康でステージに立ち続けること、家族の健康、仲間の健康、そして幸せな家庭を築いていけることを願っています。

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現在のパフォーマンスの様子

〜最後にNOBUさんから全国の高校生へメッセージ〜

高校生のうちに人生が決まると言われることが多いですが、高校で人生は絶対決まらない!と僕は思います。僕も先生に今の高校生活が大事だから人生が決まるぞと言われていたのを覚えていますが、そう言われるからこそ慎重に選ばなきゃと思うことも多いかもしれません。これは断言できますが、大学や進路のみで人生は決まりません。その時点で選択肢が5個と言われた人が、大学でさらに選択肢を20個見つける可能性だってあります。人生が決まると思わず、心から自分らしく、楽しく生きられる道を見つける方が良いと僕は思います。
「自分のことを愛してもらい、自分らしく生きて自分を肯定してあげる。」それができればきっと幸せになれるし、自分が幸せになれれば周りの人も幸せにできると思います。

いかがでしたでしょうか??
2回にわたって紹介させていただいたNOBUさんのインタビューですが、貴重なエピソードの数々でしたね✨
インタビュー中、「ありがとうございます」と繰り返されていたり、ずっと笑顔で優しく答えてくださって、NOBUさんの優しい人柄を感じました☺️
小さい頃から仲良くさせて頂いていた方に、改めてこうしてインタビューさせて頂けて嬉しかったです❤︎
NOBUさん、本当にありがとうございました❤️これからも応援しています📣

この記事を通して、留学に対する考え方や、人生における前向きなヒントなど、高校生の皆さんに感じていただけたら幸いです💕
最後まで読んでくださり、ありがとうございました❗️

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